観音寺一の白川大晴選手=2025年7月26日午後3時53分、高松、斉藤夏音撮影

 (26日、第107回全国高校野球選手権香川大会準決勝、尽誠学園5―1観音寺一)

 5点を追いかける八回表、観音寺一の白川大晴選手(3年)の4度目の打席が回ってきた。この日、まだ安打はない。父でもある白川敬三監督は「力を抜いて、いつも通りで」と声をかけ、送り出した。

 父の影響で、小学校1年から野球を始めた。高校に進むとき、別の学校とどちらに行くか悩んだが、「親子で(野球が)できるのも最初で最後だな」と観音寺一を選んだ。

 家では父とあまり言葉を交わさないが、いつでも選手のことを第一に考えてくれている父に感謝している。6月の父の誕生日には「父さんのノックをこれからも受けたい」と書いた手紙を送った。

 打撃には自信を持っているが、今大会は準々決勝までの3試合で14打数3安打とふるわなかった。試合当日の朝、父から「個人の結果よりチームの結果。気負わずいけよ」と声をかけられた。

 「僕が塁に出れば、後続が返してくれる」。そう信じてバットを振ったが、内野ゴロに倒れた。父はベンチに戻ってくる息子を見つめ、かみ締めるようにうなずいた。

 直後にチームは1点を返したものの、追いつけず、親子で甲子園を目指した夏が終わった。

 試合後、敬三監督は言葉を詰まらせながら「親子で同じ夢を追えて、宝のような時間でした」。大晴選手は「父さんと一緒に野球ができて楽しかった」と話した。

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