京都府京丹後市弥栄町の弥栄中学校で10月22日、能楽観世流シテ方の観世喜正さん(54)による能の授業「日本の伝統芸能を知ろう!」があった。3年生約30人が観世さんの謡を聴き、伝統芸能に親しんだ。
観世さんは能楽の成り立ちを紹介。社会科の授業のように、室町時代、足利尊氏、北山文化といった単語を使って説明した。続けて、音楽の教科書に載っている能「敦盛(あつもり)」の一節を謡い、その後、生徒たちも謡った。
能に欠かせない「すり足」を6人の生徒が実演。体がぐらつかないよう、ひざを少し曲げ、腰を落として歩くようにと観世さんが指導した。
すり足を体験した上田琉生さんは「ひざを曲げたままだったので若干歩きづらく、疲れた。能が長い歴史の中で引き継がれてきたのはすごいと感じた」と話した。
会場には地元の能面師、田中巌月さんが作った能面6点も展示。生徒は興味深げに観察した。
この授業は、同市久美浜町の安養寺を拠点に活動する「たんたんのうのう会」が市教育委員会を通じて呼びかけ、同校の西原あおゐ校長が「本物に触れさせたい」と応じた。観世さんは「丹後の地からプロの能楽師が育ってくれればいいなと思っている」と期待した。(滝川直広)