記者会見に臨む東京都渋谷区の長谷部健区長=2025年6月24日午前10時56分、渋谷区役所、本多由佳撮影

 外国人観光客に人気の「公道カート」について、東京都渋谷区は24日、カートを貸し出す事業者が7月以降に区内で事業所を新設する場合、区への事前の届け出を義務化すると発表した。近隣住民への説明も求める。事業所の届け出に関する法律はなく、区によると、条例で規定するのは全国初だという。

 区内では、スクランブル交差点がカートの人気ルートの一つとなっており、キャラクターに扮したドライバーが記念撮影する姿がみられている。一方、近年は区民から、事業所の周辺で悪臭や騒音などの苦情が寄せられていた。区によると、区内には4社の6事業所があり、一時は住宅街で営業していたケースもあったという。

 こうした状況を受け、区は関連条例を改正し、新規事業者に営業開始30日前までに開設届や走行ルート図などの提出を求めるほか、利用者の運転免許証の確認の徹底や適切な車両整備、苦情を受け付ける窓口設置などを順守する「誓約書」も提出させる。すでに営業する事業者にも任意で協力を求めるという。

 条例には罰則規定はないが、提出された事業内容は区のホームページで見られるようにするほか、協力が得られなかった場合はその旨も公表する。旅行会社にも情報を提供し、規制強化につなげたいとしている。

 24日に記者会見した長谷部健区長は「一定の効果はあると思う。都や国にも状況を伝えていくので、そこでも議論してほしい」と話した。

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