Hong Kong Looks for Ways to Win Back Big-Spending Tourists
最近のある休日。中国南西部から香港に到着した姉妹は、12時間足らずの滞在中に、できるだけ多くのものを見ていく計画だ。
姉で銀行員のフー・ティーさん(30)と、妹で学生のフー・コーさん(20)の持ち物は、小さなバッグだけ。ビジネス街のセントラル(中環)で牛肉麺を試し、ウォーターフロントの遊歩道では交互にポーズを取って夕日を入れた写真を撮影。日が暮れたところで、夜空を背景に輝く街のスカイラインもカメラに収めた。購入したのは薬用オイルと昔懐かしい漫画だけで、2人のこの日の出費は150ドル(2万2千円)足らず。中国本土側に戻って宿泊した。
中国本土に住む人たちの香港への個人旅行では、この姉妹のように、できるだけ短時間の滞在で出費を最小限に抑える日程を好む傾向がとても強く、彼らは「特殊部隊式旅行客」と自称している。
本土からの中国人は、金融ハブ香港を訪れる全観光客の4分の3超を占める。しかし、かつては高価な時計やハンドバッグ、有名デザイナーの服など多額の買い物をしていた彼らが、今では時間もお金も使わなくなってしまった。観光経済の再生に取り組む香港当局にとって、これは難題だ。香港観光はこのところ何年も、反政府抗議活動や、新型コロナ禍に伴う制約、国家の安定を優先した取り締まり強化による自由の制限に西側諸国が抱く懸念などで、痛手を被ってきた。
香港はかつて「アジアの世界都市」を自称していたが、今はイベントの中心地というブランド化に取り組んでいる。ショッピング以上にコンサートや見本市・展示会に力を入れることで、訪問客がリピーターになってより多くのお金を落としていくことを期待している。
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