初夏の世界遺産「白川郷」(岐阜県白川村)。かやぶき屋根の合掌造り脇を歩く観光客が足を止め、驚きの声を上げる。
「何だこの魚は」
落とした目線の先には、大きなニジマス。防火用水路を悠然と泳ぐ姿に、観光客は目を丸くしながら、写真を撮っていた。
約20~30匹の中には、体長60センチを超えるものも。荻町合掌造り集落の一角でお土産や軽食を売る「ぜん助家」が店の前の幅1メートルほどの水路を約50メートルの区間に仕切り、観賞用に飼っている。
家族で店を営む藤坂周磨さん(28)によると、祖父が釣った魚を放したのが始まり。朝夕2回のほか、地域の人や観光客からもエサが与えられるため、驚くほど早く大きくなるという。「雪のない時期、お店の貴重な看板魚になってくれています」。