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 インバウンドの回復でコロナ前の活気が戻ってきた日本の観光地。観光振興のための宿泊税の導入を検討する自治体は急増しており、その一つが「観光王国」北海道だ。2月に有識者らの懇談会でまとめた案を基に条例案づくりを模索したものの反発が多く、6月議会では「考え方」の提示にとどめた。観光産業にとって最悪の災厄だったコロナ禍を経て新税の機運は高まったのに、なぜ足踏みしているのか――。

美瑛町の観光名所「白金青い池」=美瑛町白金

 北海道で宿泊税の導入論議が始まったのはコロナ前のこと。2020年2月に懇談会は「道税を100円と設定し、市町村は自由に税額を決める」という意見をまとめたところで、コロナ禍となり、議論は中断。当時の税収見込みは年間35億円とされた。

 コロナが明けた昨年8月から議論は再開された。道の昨年度当初予算案での観光予算は6億4700万円だった。コロナ後の観光業界は深刻な人材不足に見舞われており、道にとって新税は「予算拡大のチャンス」ととらえられた。税収規模を拡大する方向で議論は進み、料金に応じて100円、200円、500円を段階的に徴収する形へと切り替えられた。

札幌や旭川など7市の提案を道が一蹴

 この変わり身が、市町村との…

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