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判決を受けて会見した弁護団。男性と共に自ら原告になった出口聡一郎弁護士(右から2人目)は「取り調べが可視化されていないのに、被疑者ノートの信用性に疑問をはさむ判決はおかしい」と話した=2025年3月7日午後2時12分、佐賀市中の小路、渕沢貴子撮影
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 窃盗事件で佐賀県警に逮捕された男性らが、供述していない内容の調書を警察官に作成され、虚偽の自白を強要されたなどとして、県に計330万円を求めた国家賠償請求訴訟の判決で、佐賀地裁の三井教匡裁判長は7日、原告の訴えを一部認めた。

 判決によると、男性は2021年1~3月に取り調べを受け、担当警察官によって「(事件を)認めれば刑務所に行かなければいけないという思いがあり、本当のことを言えなかった」「工事現場用の信号機1台を盗んだことは間違いない」「他にも盗みをしたことがある」など、犯行を自白する供述調書を作成された。男性は署名せず、その後不起訴処分となった。

 判決は、警察官について、「男性が犯行を自白していないと認識しながら、異なる場面や文脈で述べた言葉をつなぎ合わせ、犯行状況や自白に至るまでの心理的変化などを供述しているかのような調書を作成した」と認定し、「職務上の法的義務に違反し違法」と判断した。

 不起訴処分で刑事手続きから早期に解放されているなどとして、賠償額は1万1千円とした。原告が主張した黙秘権侵害などは認められず、原告側の弁護団は会見で「捜査の違法性を認めたことは評価するが、一連の行為を通して自白に向けた心理的圧迫があったことを認めず、ぶつ切りで調書作成のみを違法としたのは不十分だ」として、控訴する意向を示した。県警監察課は「判決の内容を精査したうえで今後の対応を判断したい」としている。

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