清水建宇さんと妻、美知子さん。スペイン・バルセロナで開業した豆腐店で=2013年11月26日、提供・本人

 江戸時代に日本地図を作った伊能忠敬。その前半生で商人の婿養子として家業を繁栄させた後、49歳で隠居し、江戸に出て暦学を学び、地図作りの偉業を成し遂げました。「一身にして二生を経る」(井上ひさし)と称された忠敬に憧れて新聞記者から転身し、スペインで豆腐屋を営み、リアル「一身二生」に挑んだ人物がいます。

 清水建宇さん(77)。2007年に新聞社を定年退職し、3年後に妻、美知子さんと一緒にバルセロナの地で豆腐屋を開業した。

 「蛮勇なカミさんは私が作った豆腐をスペイン語で売りまくってくれた。バルセロナでの日々は楽しくも試練の連続でした」と笑顔で振り返る。

 バルセロナへの移住を考え始めたのは、50歳の時だった。当時は朝日新聞の論壇誌「論座」編集長を務めるなど多忙な時期だった。「とりあえず、預金など全財産をスペインの銀行に預け、現地の資料を集めたりした」

 なぜ、バルセロナで豆腐屋なのか?

日本を飛び出して「豆腐アドベンチャー」に挑んだ清水さん夫妻。楽しい日々もつかの間、東日本大震災、新型コロナと予期せぬ出来事が次々と起こります。冒険の果てに得たものとは?

 記者時代は警視庁キャップな…

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