反発しながら、迷いながら、伝統の技によるものづくりを残そうと奮闘する「鬼師」がいる。愛媛県今治市で「菊間瓦」の鬼瓦を作る黒瀬晴香さん(35)。「感動物語の記事にするのは嫌」という黒瀬さんに会った。
――菊間瓦はいつから作られていますか
750年ほど前からです。瀬戸内の気候は温暖で瓦の乾燥に適し、燃料になる木材もたくさんあったためです。
鬼瓦は、棟の端につけられた装飾性の高い瓦。厄よけもありますが、屋根に水が入らないようにする機能もあります。鬼瓦を作る職人を「鬼師」と呼びます。
――所属する「菊銀製瓦」はいつの創業ですか
1879年で、父が4代目となります。私は2007年に高校を卒業してすぐに入社しました。鬼師は祖父が初代で、私が継いだ形です。
小さいころ、祖父から粘土を…