自衛隊基地前での集会を取材する西山正啓さん=2006年10月2日午前10時52分、福岡県築上町西八田、田中久稔撮影

 水俣病や基地問題などをテーマに多くのドキュメンタリー映画を手がけた記録映画作家の西山正啓(にしやま・まさひろ)さんが1月26日、死去した。77歳だった。葬儀は家族で営んだ。

 山口県下関市出身。会社員だった1975年、水俣病を記録した映画監督土本典昭の作品に感銘を受け、映画の世界に転じた。土本に師事し、77年に水俣病被害の掘り起こしを図る不知火(しらぬい)海沿岸地域での上映活動に参加した。胎児性水俣病患者が企画したコンサートに密着した「わが街わが青春 石川さゆり水俣熱唱」(土本、78年)のスタッフを務めた。

 福岡県内を拠点に、水俣病や沖縄戦、軍事基地、原発事故など国内外の現場を取材。代表作に、沖縄戦の記憶や日の丸掲揚をめぐる出来事を捉えた「ゆんたんざ沖縄」(87年)、水俣の地域再生や患者と児童の交流を描く「水俣わが故郷 ほっとはうす流もやい直し」(2005年)、東京電力福島第一原発事故後の住民運動を追った「脱原発 いのちの闘争」(11年)などがある。

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