レッツ・スタディー!経済編㉗ 「インバウンド」をつかむには
投資漫画「インベスターZ」にNMB48の安部若菜さん(23)、松岡さくらさん(21)が入り込み、経済を学ぶ連載。今回のテーマは「インバウンド(訪日外国人客)」です。今回、新たにNMB48から坂本理紗さん(15)が体験入部。インベスターZの登場人物たちと語り合います。
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高校生・坂本理紗さんが投資部へ体験入部! その動機は?
さかもと・りさ 2008年、兵庫県生まれ。高校1年生。愛称リサ、リササンタ。将来の夢は「声優」。愛称の由来は12月24日生まれであるところから。
坂本理紗「初めまして。今日から投資部に体験入部する高校1年、坂本理紗です!」
松岡さくら「えっ、リサ!?」
財前孝史(道塾学園投資部員)「お友達?」
松岡「友達というか、同期生。一緒に8期生としてNMB48に入った仲間です」
坂本「私、勉強はおおむね得意なんですけど、英語だけが苦手なんです。で、わかぽん先輩に投資部で勉強したいというお願いを……」
安部若菜「そう。びっくりしたよ」
神代圭介(投資部主将)「え? 投資部では英語は教えていないよ」
坂本「それは知っています。でも、英語を勉強するモチベーションを上げたいなと」
松岡「どういうこと?」
坂本「NMB48劇場に海外のお客さまが多く来るようにしたいなって。そうしたらアイドルもいやおうなく語学力が求められ、私自身も必死に勉強する理由になるかなと思って……」
安部「そうだったの?(笑)」
坂本「投資部は企業研究をしていると聞きまして。皆さん消費者心理にも詳しいと思うので、誘客作戦を一緒に考えてもらえたらなと」
安部「確かに、今の大阪は外国人観光客の皆さんでごった返しているもんね。劇場も大阪観光の名所の一つにできたらいいなあ」
坂本「そう、そしたら語学のやる気も上がるなって。私、必要とされたり、待ってくれている人がいたりしたら頑張れるタイプなんです」
財前「海外からの観光客に、日本独自のアイドル文化に触れてもらえるとなれば、今はやりの『コト消費』になるかも知れませんね」
キーワードは「コト消費」? そういえば… (安部若菜さん)
あべ・わかな 01年生まれ。愛称わかぽん。ゲーム、落語、投資と幅広く才能を発揮。小説「アイドル失格」(KADOKAWA)著者。2冊目となる小説「私の居場所はここじゃない」が12月に発売予定。
安部「コト消費、確かに。そういえば、YouTubeで私たちメンバーが外国人観光客に声をかけて手助けする企画をしているんだけど」
坂本「『裏なんばちゃん』ですね!」
安部「先日、声をかけたスイスからのお客さんたちが実際にNMB48の劇場公演に来てくれて『こういうのはスイスにない。特別な体験ができた』と喜んでくれていたのを思い出したよ」
松岡「日本のアイドル文化、どんな風に映ったんですかね?」
安部「『わがままな流れ星』という曲では、曲間の『ふっふー!』というかけ声を一緒に出して盛り上がっていたよ。客席からの独特のコールや合いの手が面白かったみたい」
坂本「ちなみに、コト消費って何ですか?」
安部「アクセサリー、家電、車など具体的な形をもつ商品や製品を買って楽しむのが『モノ消費』。で、『コト消費』は体験に重点を置いた楽しみ方で、グルメツアーとかリラクセーション、テーマパーク、習いごととか……」
坂本「私、一人でたまに京都のお寺巡りをしたり、アニメの『聖地巡礼』をしたりするんですけど、それはどっちに入りますか?」
安部「それもコト消費に入るだろうね」
松岡「じゃあ私もコト消費派ですね。先日も韓国旅行に行ってきたんですけど、最高に楽しいのはやっぱり食べ歩きです。コト消費というより、『胃袋消費』かも知れない……」
神代「最近のトレンドとして、『トキ消費』という言葉もよく聞くよ。アイドルのライブは『トキ消費』の要素もあるかも知れない」
坂本「トキ消費?」
安部「特別な時間や空間を楽しむ消費の仕方……のことですよね? ライブやイベントで、同じアーティストや創作物を愛するファン同士が感動や感情を分かち合うような」
坂本「せっかくならNMB48のファンになって帰ってもらい、私たちを見に再び日本に来てほしいですよね。そうしたら1回目はコト消費、2回目はトキ消費になるじゃないですか」
安部「そうだね、最初は異文化体験として、次からはファンとして。海外でも、日本のポップカルチャーとしての『アイドル』がもっと知られて、ツアーの一部に組み込むなどしてもらえたらいいな、と常々思っています」
松岡「インバウンド拡大の流れに私たちも乗っていきたいですね」
財前「リピーター確保は、日本の観光産業全体にとっても重要ですね。今は円安もあって多くのお客さんが海外から来ていますが、一過性のブームに終わらせないためにも」
神代「そうだね。旅行先としての日本がまず魅力的であり続けないと、その先もない」
海外で驚き! 「日本にもあったら…」なサービス (松岡さくらさん)
まつおか・さくら 03年生まれ。愛称さくら、さくぱん。韓国の文化やファッションに関心が深い。日本史の勉強が好き。
松岡「そういえば、韓国には『WOWPASS』という外国人観光客向けプリペイドカードが2022年からあり、公共交通機関、買い物、食事と色んなところで使えるんです。すごく便利ですよ。日本にもあるといいなと思います」
坂本「そうなんだ!」
松岡「両替機能のあるチャージ機械があちこちにあって、日本円で直接チャージできるのも楽でした。あと観光案内も充実していますね。主要な観光エリアには赤色のユニホームを着たガイドさんがいて、巡回しています。安心感があるし、親切に色々教えてくれますよ」
安部「観光客の方々に魅力あるコンテンツを提供すること、街全体として『行きたくなる街』であること。便利さ、手軽さは大切だね」
松岡「そうなんです。アクセスのしやすさ、親切さ、困った際にはサポートしてもらえるという安心感。そのあたりが海外からの観光客の心をつかむカギになるのかなって。海外を旅行して、私はそう感じました」
あえて!チラシ作戦はどうでしょう? (坂本理紗さん)
坂本「それってNMB48劇場にも同じことがいえますよね。『興味はあるけど、どうしたらいいの?』という人たちの助けになるものがあるといいな。色んな言語で案内チラシを作るのはどうですか? それを劇場近くに置くの」
安部「それ、いいかも。あえて紙のチラシっていうのがいい。持ち帰れるもんね。その場ですぐ『よし見るか』とならなくても、それぞれの国に持ち帰ってもらって、それを目にした誰かが興味をもってくれるかもしれない」
坂本「そう、チケットの買い方、劇場公演、メンバーの紹介などQRコードから見られるようにするんです。私がささっと描いてみますね。こんな感じです。これを、各国語に翻訳してもらって……」
坂本理紗さんが考えた! 観光客向けのPRチラシ
松岡「リサ、絵がうまいね」
安部「『チケットは誰でも買えます!』とフキダシ付きでアピールしているこの子は誰?」
坂本「私です」
松岡「何でリサだけなの。同期でしょ。私も入れてよ!」
坂本「もう、しょうがないなあ。はいっ」
安部「8期生をPRするチラシになってない……?」
◇
【解説】拡大するインバウンド、課題も…「二重価格」も議論に
追手門学院大・宮宇地俊岳教授がキーワードとなる経済用語を解説します。
観光白書によると、訪日外国人観光客数は2003年には約521万人でした。19年には約3188万人へと増加し、コロナ禍を経た23年には約2507万人の水準となっています。その旅行者による消費額は12年には約1.1兆円でしたが、19年には約4.8兆円、23年は過去最高の約5.3兆円と拡大しています。
訪日外国人の関心は「モノ消費」から「コト消費」へと移っていると指摘されます。モノ消費とは、具体的な形をもつ商品・製品の購入など。コト消費では、形のないサービスによって得られる体験・経験の価値が重視されます。温泉や寺社巡り、四国でのお遍路、富士山登山、ラーメンづくり教室、アニメの聖地巡りなどが例に挙げられます。
近年は「トキ消費」という言葉もよく耳にします。「ある時、ある場所」でしか体験できないイベントやフェスなどに参加し、感動や思いを分かち合うような楽しみ方です。
一方、オーバーツーリズムをめぐる問題もしばしば指摘されます。道や交通機関の混雑、交通渋滞、ゴミや騒音などの課題です。その対策の一つとして論議されているのが「二重価格」です。兵庫県姫路市が姫路城の入城料を外国人観光客については高く設定することを検討していると先日報じられました。
二重価格自体は、電車の大人料金と子ども料金、映画館でのレディースデーの設定、カラオケボックスの昼料金と夜料金など実際にあります。二重価格の設定がうまくいくための条件は、昼と夜、大人と子どものように市場(顧客)を低コストで分けることができることと、その製品・サービスが転売不可能であることです。特定の市場(顧客)に高い価格を提示しようとするのであれば、合理的な理由と丁寧な説明が必要不可欠です。
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