関西空港が開港して30年。ターミナルには多くの旅客機が駐機する=2024年9月4日午後0時6分、大阪府、朝日新聞社ヘリから、小杉豊和撮影

 1994年9月に開港した関西空港が4日、開港から30年を迎えた。

 当初、国際ハブ空港としての将来を描いた関空だが、バブル崩壊もあって、もくろみは頓挫。運営は赤字続きで「関西のお荷物」とまで言われた。

 その関空がいま、訪日外国人の玄関口として盛り上がりを見せている。

 8月半ばの水曜日、午後5時すぎ。そこには、いつものように20人ほどの行列ができていた。

 目の前に滑走路を望む関西空港第1ターミナルの国際線出発エリア。「OnigiriBurger(おにぎりバーガー)関西国際空港本店」は、のりとご飯で肉を挟んだ、おにぎり風のメニューで人気の店だ。

関西空港第1ターミナルの出国エリアにあるOnigiriBurger(おにぎりバーガー)の店舗。連日、行列ができている=2024年8月14日午後5時22分、関西空港、西村宏治撮影

 中国・上海の大学生ジェイソン・リューさん(20)が選んだのは、神戸牛のステーキを挟む看板商品。ひとつ5500円だが、「2週間の日本旅行の最後だし」と友人とひとつずつ平らげた。

 運営会社「おかげさまで」の吉川靖師ブランディングディレクター(61)は「外国人に、本当においしいものの価値を分かってもらえている」と言う。

 同社が関空に進出したのは、コロナ禍の2021年。「外国人客はきっと戻る」と赤字覚悟で期間限定の店を出した。

 23年12月、ターミナルの改装に合わせて常設店を出した。値段を決めたのは、出店直前だ。

OnigiriBurger(おにぎりバーガー)の看板商品、神戸牛のステーキを挟んだ「侍〝SAMURAI〟 神戸牛ステーキバーガー」。ステーキは注文を受けてから焼き上げられる=2024年8月14日午後6時25分、関西空港、西村宏治撮影

 素材と味には自信があった。メニュー開発に協力したのは、外国人にも人気の料理店、京都の「にくの匠(たくみ) 三芳」と、大阪の「鮓(すし) きずな」。「いい素材を使うのだから、きちんとした値段をつけるべきだ」とのアドバイスを得て、思い切って5千円を超える値段をつけた。

 構想は当たり、いまでは月に約2万人を集める。売り上げは「出店前の想定の3倍を超えます」。関空で知名度を上げ、海外に進出する将来も見すえる。

 日本人が海外に行く玄関から、外国人が日本に来る玄関へ。関空はそんなふうに性格を変えた。

にぎわう関西空港出国エリアの免税店。国の出入国管理統計によると、2023年に日本から出国した外国人の約26%は関空経由だった。成田空港の約31%に次ぐ多さだ=23年12月5日午前、関西空港、田中章博撮影

 開港翌年の1995年度、関空の国際線旅客の78%は日本人だった。それが2023年度は、79%が外国人だった。

 国の出入国管理統計によると、23年に入国した外国人の約25%は関空経由で、31%の成田空港に次ぐ。

 外国人頼みにはリスクもある…

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