第50期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は2日、許家元(きょかげん)九段が広瀬優一七段に288手までで黒番3目半勝ちした。許はリーグ4連勝でスコアを5勝2敗と伸ばし、リーグ残留が確定。広瀬は2勝4敗に後退し、残留に向けて剣が峰の戦いが続く。
最近の許は上昇気流に乗ったようだ。4月の名人リーグで前名人の芝野虎丸十段を破り、5月の棋聖Sリーグ初戦では前挑戦者の井山裕太王座に快勝。勢いそのままに迎えた広瀬戦でも、突っ込みの利いた強手を貫いた。
序盤、ダイレクト三々由来の難解定石に端を発して大規模なコウが立て続けに勃発。フリカワリの連続で形勢は微妙に揺れたが、AIによると許の優勢の局面が多かった。戦いは息つくひまもなく終盤になだれ込み、ここでも許は平凡な陣地の囲い合いをよしとせず、フリカワリ含みの踏み込みを見せ、次第に差を広げてゴールした。
許のリーグ戦は残すところ1局。最終ラウンドで山下敬吾九段(現在1勝4敗)と対戦する。許と星二つ差の5戦全勝で首位を走る井山は残り3戦。このうち二つ黒星がつかなければ許は追いつけない状況だが、現段階で挑戦の可能性を残している。