愛知県の小牧市民病院で受診し2024年11月に死亡した肺がん患者について、市は1日、同病院の医師の診療に誤りがあったとして、患者の相続人に2300万円の損害賠償を支払うことで和解が成立したと発表した。支払い契約をするための関連議案を9月定例市議会に提案する。
病院によると、男性は22年8月、ほかの病院での健康診断で肺の影を指摘され、9月に市民病院を受診した。市民病院でのCT検査でも、肺がんを疑われる19ミリの影を確認。医師は短期間の経過観察をして、影が消えない場合には、患部を採取して詳しく調べる外科的生体検査を行うと説明した。
しかし、10月と12月にもCT検査を行い影が確認されたが、医師は詳細な検査を行わず、さらに半年後にCT検査をする判断をした。その間に病状は悪化、翌23年8月には、がんはステージ4に進行しており、リンパ節や肝臓、脳への転移も見られたという。医師が男性に説明、謝罪し、同月に治療を開始したが24年11月に死亡した。
原因について病院は、医師が「誤って肺の影が小さい場合に用いる手順を適用したため」と説明。CT検査と診察を同じ日に行っており、十分に画像を確認する時間がなかったとして、それぞれ別の日に行うことなどを再発防止策に挙げた。
谷口健次院長は「再発防止に真摯(しんし)に取り組み、安心できる医療の提供と信頼される病院づくりに努める」とコメントした。