証券口座が不正アクセスで乗っ取られ、株式が勝手に売買された問題で、顧客に対する補償対応が、対面証券は「全額」、ネット証券は「半額」で大まかに割れた。ネット証券を相手に、被害者が提訴に踏み切る事態にも発展。何が判断を分けたのか。
「被害に遭われたほぼ全てのお客様と直接コミュニケーションがとれている。今後も寄り添って対応していきたい」「しっかりした対応が回り回って企業価値の向上につながる」。野村証券を傘下にもつ野村ホールディングスの森内博之財務統括責任者(CFO)は、7月29日の決算会見でこう述べた。2025年4~6月期決算で、補償費用として約66億円の損失を計上したと説明した。
業界最大手の野村など対面証券大手は、顧客の口座を元の状態に戻す「原状回復」に最大で応じると決定。事実上の全額補償にあたり、大和、SMBC日興、三菱UFJモルガン・スタンレー、みずほの対面証券4社も同様に対応する。
証券会社の業務形態は、顧客が店舗や電話で担当者とやり取りする対面証券と、顧客が基本的にオンラインで自ら取引するネット証券に分かれる。対面は手厚いサポートがある一方、ネットは手数料の安さや手軽さで口座数を伸ばしてきた。
対面とネット、「ビジネスモデルの違い」
補償については、対面もネッ…