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証券会社をかたったフィッシング詐欺とみられるメール。「不正アクセスが増加しており、セキュリティ体制の緊急強化が必要不可欠」として偽サイトに誘導している

 証券口座が不正アクセスで乗っ取られ、株式が勝手に売買されている問題で、金融庁は7日、6月末時点の被害状況を発表した。不正取引の累計は件数が7139件、売買額が5710億円になったが、被害ペースは大幅に縮小した。証券各社のセキュリティー対策や顧客への啓発が一定程度、進んだとみられる。

 金融庁は証券各社から報告を受けた不正取引を発生日で集計。単月でみると、4月は2932件、5月は2329件に上ったが、6月は783件まで減った。不正取引による売買額も、4月の2915億円、5月の2105億円と比べて、6月は5分の1以下の381億円になった。

 5月末時点から6月末時点の累計の増加率は、6356件から7139件になった件数が12%、5329億円から5710億円になった売買額は7%だった。不正取引があった証券会社は、5月は16社だったが、6月は7社にとどまり、沈静化の兆しが見える。

 6月末時点で被害報告があったのは楽天、SBI、野村、大和、SMBC日興、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー、マネックス、松井、三菱UFJeスマート、GMOクリック、岡三、岩井コスモ、内藤、立花、SBIネオトレード、インタラクティブ・ブローカーズの証券17社。

 証券口座のIDやパスワードは、証券会社を装って偽サイトに誘導するフィッシングや、「インフォスティーラー」と呼ばれるウイルスへの感染で盗まれる。その上で、犯罪グループは本人になりすまして口座を操作。口座内の株を勝手に売却した資金で超安値の別の株を大量購入し、株価をつり上げる「相場操縦」で利益を得たとみられている。

被害補償、「原状回復」も

 乗っ取られた口座には勝手に…

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