記者会見で話すノルウェー・ノーベル委員会のフリドネス委員長(右)。左は日本被団協の田中熙巳代表委員=2025年7月27日、東京都千代田区の上智大学、佐藤達弥撮影

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)と、同会に昨年のノーベル平和賞を授与したノルウェー・ノーベル委員会のフリドネス委員長らが27日、東京都内で記者会見した。若い世代が被爆者の証言を受け継ぎ、二度と核兵器を使わせてはならないとする「核のタブー」を守っていく大切さを訴えた。

  • 今年の平和賞の行方、受賞に意欲のトランプ氏 ノーベル委員長に聞く

 広島・長崎への原爆投下から来月で80年となる中、世界ではウクライナに侵攻するロシアが核の脅しをちらつかせ、中東ではイランと、事実上の核保有国とされるイスラエルとの緊張も続く。フリドネス委員長は会見で「核のタブーが脅威にさらされている」と述べ、核兵器の悲惨さを知るために「私たちは(被爆者の)証言を聴き続ける必要がある」と呼びかけた。

 また、訪日中に広島と長崎を訪れ、音楽や文学、漫画を通じて被爆体験を継承している事例に触れたとし、「若い世代の創造性に大きな感銘を受けた」と振り返った。

 日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(93)は、「これからの世界は若者の世代が担っていくが、1万2千発の核弾頭で覆われている。若い人が被爆者の訴えを聴き、(核廃絶の機運を高めて)核兵器を絶対に存在させないという所まで行ってほしい」と力を込めた。

 厚生労働省によると、今年3月末現在で被爆者健康手帳をもつ被爆者は約9万9千人。平均年齢は86・1歳と、年々高齢化が進んでいる。

共有
Exit mobile version