ミャンマー東部のタイ国境地帯を舞台とした大規模な国際詐欺で、一斉摘発により拠点から救出されたはずの7千人以上の外国人が、2週間近く現地に留め置かれたままになっている。朝日新聞のタイ人助手が6日、ミャンマー側の現地を訪れると、口々に「早く母国へ帰りたい」と訴えた。
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アジア総局のウィラワン・ジャイティアン助手が訪れたのは、拠点都市ミャワディの南東約30キロにある「泰昌園区1」と呼ばれる地区。外国人に支援物資を届けるタイのNGOに同行した。
国境の川を挟んだタイ側の船着き場で待機すること約20分。対岸にトラックが着いたのを合図に小型ボートが動き出した。川幅は30メートルほど。ミャンマー側で出迎えたのは4人の少年兵だった。
10代前半か小学校の高学年くらいだろうか。ミャンマーはアフリカの紛争地域などと並び、子どもが兵力として駆り出され続けている地域の一つだ。彼らは迷彩柄のズボンをはいていて、援助物資の運搬を手伝った。トラックの荷台でスマートフォンのカメラに向かって屈託なく笑った。
現地を実効支配しているのは少数民族系武装勢力の一派「民主カレン慈善軍(DKBA)」。中国系犯罪組織が運営する詐欺拠点を保護し、収益を得てきたが、タイ政府などの圧力を受け、2月下旬に拠点の摘発に乗り出した。監禁状態で詐欺に加担させられていた外国人らを拠点から出し、タイ側への送還までの間、監視下に置いている。
トラックで5分ほど走り、倉庫のような建物に移動すると、中から出てきた100人ほどの外国人に囲まれた。最も多いのはアフリカ系で、アジア各国の人たちもいた。
エチオピア人の女性(25)は「2週間近く硬い床で眠らされ、頭痛がひどく、薬がほしい。でも、私よりもっと具合が悪い人がいる」と言って、別の女性(22)を連れてきた。肌が黄色がかり、内臓の病気ではないかという。
多くの人が洗濯をできていない様子で、着衣に汚れが目立つ。皮膚病を訴える人もいた。パキスタン人の男性は「1日2食が配給されているが、自分はイスラム教徒で食事が合わず、米だけしか食べていない」と言った。
託された携帯電話のメッセージ
NGOはこの日、せっけんや…