Smiley face
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たけいすぐるさん=2025年8月12日、甲府市、三宅範和撮影
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 「ゴォーールッ」。この人の声が競技場に響くと応援のパワーが増し、さらに選手たちの背中を押す。たけいすぐる(本名・竹井卓)さん(41)は女子サッカーのFCふじざくら山梨と、女子バスケットボールの山梨クィーンビーズのホーム戦で、試合をしゃべりで盛り上げるスタジアムDJを担当している。

 サッカーと比べて攻守の切り替えが素早いバスケでは、プレーが止まるごく短時間に得点者の名前や反則の種類などをアナウンスしなければならない。試合から瞬時も目が離せず、ルールも熟知しなければならないなど種目ごとの苦労もある。

 山梨県山梨市で生まれ育ち、小学生時代から健康科学大学(同県富士河口湖町)まではサッカーに打ち込んだ。あこがれの選手は、今もプレーを続ける三浦知良(カズ)だった。

 大学時代に学園祭で司会者を任され、「しゃべりで盛り上げる楽しさを知った」という。その思いは胸にしまって卒業後、飲食業界などの仕事に就いたが、並行して、さまざまな縁から、ラジオDJや、戦隊ものご当地ヒーロー「サクライザー」役の仕事もするようになった。「運動神経は良い」と、宙返りなどのアクションシーンもこなす。

 33歳の時「退路を断って」、その時従事していた歯科助手を辞め、しゃべったり、演じたりする仕事に集中する決断をした。

 「他県まで時間とお金を使って応援に来てくれることに最大限のリスペクトを」と、試合前にはアウェー側応援席へのあいさつを欠かさず、「すぐるコール」を受けることも。

 選手らが客席にサインボールを投げ込む時は、「大人の対応をお願いしまーす」と子どもファーストを呼びかける。「子どもは未来。一つのサインボールが、子どもがスポーツに一歩踏み出すきっかけになるかも」。21日に1人加わった3人の男児を育てる父の顔がのぞいた。

 FM甲府(76・3メガヘルツ)で、毎週火曜正午~午後3時の「ゲッ☆チュー」、毎月第2土曜午後6時半~午後7時の「たけいすぐるのくすぐるラジオ」の2本のレギュラー番組が放送中。「山梨でエンターテインメントのしゃべりなら『たけい』と言われるようになりたい」と、この道を進む覚悟だ。

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