サッカーの試合中、雷に打たれた北村光寿さんが着ていたユニホーム

 心臓も肺も、30分止まったままだった。瞳孔は開いていた。

 医師は両親に告げた。

 「99%助からない」

 その日は台風が近づいていた。1996年8月13日、高知・土佐高校1年生で16歳だった北村光寿さんは、大阪府高槻市であったサッカー大会に参加していた。

 大気が不安定で、雷注意報が出た。雷雲が広がり、稲光とともに雷鳴がとどろく。それでも、試合は中断されなかった。

相次ぐ落雷事故 対策は

スポーツ活動中の落雷事故が絶えません。4月には奈良市で部活動中の中高生6人が心肺停止などで病院に運ばれ、宮崎市の高校では昨年4月にサッカーの練習試合で18人が救急搬送されました。被害に遭った人の思いから対策を考えます。

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 試合開始5分後、光寿さんの頭のてっぺん、後頭部側に雷が直撃した。

 奇跡的に命は助かったが、意…

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