Smiley face

 50代後半で認知症と診断され、前向きに当事者として活動してきた男性がいる。症状が進み自宅での入浴は困難になった。認知症を通じて出会った地域の仲間たちが、男性と一緒に銭湯に通うサポートを続ける。

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銭湯で湯船につかって上機嫌になった近藤英男さん(中央)と、入浴をサポートした嘉山仁さん(左)と常世田崇さん=2024年9月11日午後6時15分、神奈川県逗子市、清川卓史撮影

 神奈川県逗子市の近藤英男さん(71)は営業の仕事をしていた57歳のとき、アルツハイマー型認知症の診断を受けた。退職後は認知症についての講演やライブ演奏などの活動に積極的に取り組んだ。

「『認知症どまんなか』の近藤です」

 そんな自己紹介で場をなごませるなど、ユーモアあふれる人柄で、多くの人と交流した。

 少しずつ心身の症状は進んだ。いまは最も重い要介護5。食事やトイレは介助が必要で、スムーズな会話は難しくなった。怒りっぽくなったこともあり、介護サービスの利用を断られることもあった。

 介護負担が重くなり、妻の小夜子さん(66)は一時期、ストレスから突発性難聴になった。

 お風呂好きで温泉や入浴施設に足しげく通っていたという近藤さん。しかし近年は浴室で座り込み動かなくなることがあり、家での入浴も難しくなっていた。

 そんな近況を耳にしたのが…

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