現場へ! SNS選挙(3)
昨年11月の兵庫県知事選に立候補した前尼崎市長の稲村和美さん(52)は、街頭演説で手を振って応援してくれる聴衆の熱気に手応えを感じた。しかし、ネット空間に吹き荒れたのは逆風だった。
陣営スタッフを訪ね、選挙期間中の状況を聞いた。
選挙戦の終盤、街頭演説の動画をX(旧ツイッター)にアップすると、たった1分で、「外国人選挙権付与をおし進める国賊」「極左」など批判的なコメントが約100件寄せられた。ヤフーニュースで知事選関連の記事が取り上げられた時も、コメント欄には同様の批判が多く並んだという。
知事選は、斎藤元彦知事(47)の職員に対するパワハラ疑惑などを記した内部告発文書の「告発者捜し」に問題があったとして、県議会が全会一致で不信任決議を可決し、斎藤氏が自動失職したことに伴って実施された。
斎藤氏は実績を訴えるとともに、SNSを活用して支持を呼びかけた。斎藤氏を「応援する」ために立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首(57)は、「パワハラはなかった」などと訴える動画をユーチューブに投稿した。
一方、稲村氏をめぐっては「外国人参政権を進める」「県庁舎建て替えに1千億円もかける」など、公約も主張もしたことがない内容の投稿が相次いだ。稲村氏支持を表明した県内の市長たちからは「これほど誹謗(ひぼう)中傷の多い選挙戦は初めて。選挙の在り方そのものに疑問を持っている」との声が上がった。
「いまも分断したまま」
結果は、斎藤氏が約111万…