全ての人が活字から情報を得られることを目指す「読書バリアフリー法」の施行から28日で6年が経った。ただ、活字を音声にする「音訳」や、点字にする「点訳」は依然としてボランティア頼りだ。出版業界では持続可能な情報提供の仕組みを整えようと、新たな取り組みが始まっている。
5月下旬、東京都東久留米市の中央町地区センターで、市社会福祉協議会(社協)が音訳ボランティア体験講座を開いた。講師は「東久留米音訳ボランティアグループ『声』」代表の小柳真理子さん(68)。約20人の受講者に音訳の奥深さを語った。
「視覚障害者の目の代わりとなり、書いてあることを音声で忠実に伝える。最初はただ読めばいいと思っていたけど、そうではないんですね」
音訳は、感情を込めて表現する「朗読」とは異なるという。読み手の解釈を加えないように声の調子は一定に保つが、棒読みにもなってもいけない。事前に漢字の読み方を調べたり、グラフや写真をいかに言葉で説明するか考えたりと、入念な準備も欠かせない。
同団体では60~70代のメンバーを中心に、市や社協の広報誌、図書館から依頼された書籍の音訳などを手がけている。点字を読める視覚障害者は1割程度とされ、音訳を必要とする人は多いという。
小柳さんは約18年前、義母…