日本の避難所の多くは被災者に苦難を強いている現状がある。災害時に人道的に過ごすための国際基準「スフィア基準」を多くの点で下回っており、高齢者や障害者への負担はなおさらだ。過酷な避難所生活は災害関連死が増える要因にもなる。地域防災や福祉防災に詳しい跡見学園女子大学の鍵屋一教授(地域防災)に、支援や配慮が必要な人も含めて過ごしやすい避難所のあり方について聞いた。
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――現在、避難所はどういう場所が想定されているのでしょうか。
1次避難所は、小中学校などの体育館が多く、本来生活する場所ではありません。そこに寝る場所やご飯くらいは用意するよ、という、多くの避難者が短期間、なんとか避難生活をやり過ごせる場所が多い。結果として、体育館などでの雑魚寝というのが現状です。本当は子どもたちの学び場である学校を避難所にしてほしくないですが、今災害が起こったら、多くはそうはいきません。さらに、避難所の物資の備蓄はほとんどが自治体負担で、自治体の財政状況が厳しければ、その優先度はさらに低くなってしまう。
石破政権は、すべての避難所…