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米首都ワシントンにあるアメリカン大学の図書館=2025年3月20日、ロイター

デイビッド・ブルックス

 アメリカ人が論理的に考える能力を失いつつあることを示唆する様々なデータを見たことがあるかもしれない。

 この傾向は若い世代から始まっている。全国学力調査(NAEP)では、読解力が基礎レベル以下の読解力と判定された小学4年生の割合は、過去20年で最も高くなっている。中学2年生では、基礎レベル以下の割合は、過去30年で最高を記録した。

 基礎未満と判定された小学4年生は、物語の中で起こる出来事の順序を理解することができない。エッセーの要点をつかめず、議論の異なる側面を特定できない中学2年生もいる。

米国人の30%の読解力は10歳のレベル

 成人の社会生活スキルをはかる「国際成人力調査」(PIAAC)でも、同じような傾向がみられる。世界中の成人の数的思考力や読解力は2017年以降、低下している。経済協力開発機構(OECD)の調査でも、この10年間で大人の読解力のスコアは下がっている。

 OECDの教育・技能部門の責任者であるアンドレアス・シュライヒャー氏は、「アメリカ人の30%は、10歳の子どもに期待されるレベルの読解力しかありません」と英フィナンシャル・タイムズ紙に語っている。「道ですれ違う3人に1人が、簡単な文章でさえ読むのに苦労しているなんて、想像するのも難しいことです」

 読解力は、論理的思考力の土…

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