男性更年期障害の認知を広げるため、ホンダが従業員にメールで送った社内報の画面=同社提供

 男性更年期障害を理解し、支援する動きが、企業や自治体でじわりと広がっている。これまで「気持ちの問題」と見過ごされがちだったが、仕事への悪影響が無視できないこともわかってきた。

 「意欲がわかない。なんでこんなに気持ちが落ちこむんだろう」

 ホンダでITエンジニアとして働く安藤健一さん(48)が違和感に気づいたのは、コロナ禍が続く2022年のなかごろだった。

 当時は、経理などバックオフィス分野のデジタル化を進める業務を担当。もともとエネルギッシュに働くのが好きで、色々な業務効率化のアイデアを積極的に提案していた。

 しかし、気持ちの落ち込みとともに新しいことを考えるのがだんだんとおっくうになり、提案の数は目に見えて減っていった。「アイデアを考える意欲そのものがなくなっていました。過去に経験したことがないような違和感でした」

 上司にも「なぜか気分が晴れない」と告げ、業務面で配慮をしてもらった。しかし不調の原因はわからず、症状も改善しないまま数カ月が経過。解決の糸口になったのは、会社から届いた一通のメールだった。

 メールは、男性更年期障害へ…

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