ターリア号、お手柄――。鳴子温泉(宮城県大崎市)近くの山中で先月、一時行方不明になった高齢男性の発見に一役買ったのは、1頭の「警察犬」だった。日頃から積み重ねた訓練の成果が出たという。
「夫とはぐれた」。5月18日午後3時ごろ、男性(83)の妻が119番通報した。午前から2人でワラビを採っていたが「正午ごろに夫の姿が見えなくなった」という。男性は携帯電話を持たず連絡が取れなかった。
鳴子署員らが駆けつけ、ヘリコプターで上空からも捜索。しかし、日没までに発見できず、夜もマイクで呼びかけたものの、返事はなかった。
捜索対象のにおいがすると、鼻が上を向く
日付をまたいだ19日午前6時半。署の求めに応じ、捜索を手助けする民間の「嘱託警察犬」のジャーマンシェパード「ターリア・オブ・アウトサイダー号」(7歳、メス)と、訓練を担当する嘱託指導士の松本章さん(48)も出動した。
ターリア号は妻から託された男性の持ち物のにおいを嗅いだ上で、妻が男性を最後に見た場所へ。捜索対象のにおいがすると鼻が上を向くため、松本さんは注意深く反応を観察しながらハンドリングした。
ターリア号はワラビが摘まれた跡のあるエリアを通り、その先にある急な崖付近まで松本さんを導いた。深いやぶや林道沿いなどで計4回、においを嗅いで周囲を捜索。男性のにおいが途絶えた辺りも割り出した。危険が多い崖下の捜索は機動隊のレンジャー部隊に任せ、ターリア号と松本さんは現場を離れた。
行方不明から丸一日…迫るリミット
午後3時前、翌日の捜索計画…