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駅側から見た丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の外観
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 昨年12月に87歳で亡くなった建築家の谷口吉生(よしお)さんといえば、ニューヨーク近代美術館の増改築(2004年)などの美術館設計で知られる。モダニズムの水平、垂直の直交座標を基本にしつつ、流れるように展開する空間や精妙な細部が持ち味の「美術館建築の名手」。1990年代の2館を軸に、谷口美術館の魅力を再考する。

 JR丸亀駅(香川県)を出ると、すぐに丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(91年)が見えてくる。洋画家・猪熊弦一郎の作品を多数所蔵する美術館の正面では、猪熊の大壁画が深いひさしの下に収まっている。

 副館長の中田耕市さんは「ひさしが額縁のように見え、表示がなくても美術館と分かる顔をしている」と話す。壁画の左下から館内に入ると、天井が低く抑えられた空間を経て、いっきにホール機能が備わる高い天井の吹き抜けになる。

 「茶室のにじり口のような効…

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