第75回愛知県高校優勝野球大会 東邦―豊川 六回裏、豊川・林朔が右中間を破る打球で一気に本塁まで生還し、ランニング本塁打とする=2025年5月4日、岡崎レッドダイヤモンド、松本敏博撮影

 第75回愛知県高校優勝野球大会(県高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)の決勝が4日、岡崎レッドダイヤモンドスタジアムであった。豊川が東邦を4―1で破り、1952年以来、73年ぶり2度目の優勝を飾った。両校は、24日から三重県で開かれる春季東海地区大会に出場する。

 ◎…豊川の投打がかみ合った。一回に林朔の2点適時打で先制、六回には林朔のランニング本塁打で加点。先発の平野は140キロ台の速球を軸に無四球で完投した。東邦は安打数で上回ったが、中盤の好機でつながりを欠いたのが痛かった。

不調救ったモイセエフの言葉 豊川・林朔矢選手

 相手の反撃ムードを一撃で吹き飛ばした。

 1点差に迫られた直後の六回裏1死。豊川の林朔矢(さくや)選手(3年)が4球目のカーブを引きつけてはじき返すと、打球は右中間を抜けた。

 50メートル走で5秒8の快足を飛ばして二塁を回った時、三塁コーチの竹内雄惺(ゆうせい)主将が腕を大きく回しているのが見えた。「信じて行こう」。三塁も蹴り、本塁に頭から滑り込んだ。間一髪で生還し、ランニング本塁打となった。これが高校初本塁打で、「チームにとっても、流れを取り戻す大事な一打だった」。初回の先制2点適時打と合わせ計3打点と活躍した。

 準決勝まで2試合、無安打が続いていた。大事な決勝に臨む前、なんとか不調を脱せないか悩んで思い出したのは、1年の秋に1学年先輩のモイセエフ・ニキータさん(現ヤクルト)からかけられた「緊張を楽しめ」という言葉だった。「どうせなら楽しもう」。心機一転、臆せずバットを振り抜いたのが好結果につながった。

 東海大会もきっと緊張する。それも楽しむつもりだ。「自信のある足と強肩で、もっと貢献したい」

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