豪雨災害で、人はどこで、どのように被害に遭うのか。静岡大の牛山素行教授(災害情報学)の20年以上にわたる調査から、その傾向が明らかになってきた。よかれと思ってとった行動が裏目に出ることもある。命を守るために注意すべきポイントは――。
- ハザードマップは「大雑把に見て」 洪水や崖崩れから助かるポイント
「逃げ遅れて自宅で被災するイメージが強いかもしれませんが、犠牲者の半分は屋外で被害に遭っています」
「被害はまさかここでという場所ではなく、起こり得るところで起きています」
牛山さんは分析で見えた傾向をこう説明する。
犠牲者1547人を分析 屋外と屋内の被害は同程度
最新の消防白書によると、2023年に風水害で犠牲になったのは34人。能登半島豪雨があった昨年も、10月までに30人以上が亡くなった。
だが、被害の具体的な状況は一元的に把握されていない。牛山さんは災害のたびに亡くなった場所や状況を調べ、独自の分析を続けてきた。
1999年から2023年までの犠牲者1547人のうち、増水した川や洪水が原因だったのは708人、土砂災害は668人で、それぞれ4割強だった。場所別では、屋内779人、屋外736人とほぼ半々だった。
土砂の犠牲者は屋内が8割で、ほとんどが土砂災害警戒区域内だった。つまり、被災が想定されていた場所だった。
水の犠牲者は屋外のほうが多かった。半分程度は洪水浸水想定区域の外だったが、これは中小河川沿いの区域指定が十分に進んでいないことが背景にある。地形的には洪水が起きても不思議でない場所がほとんどだった。
■犠牲者=防災意識が低い、で…