エコキュートの下部につまった泥を取り除く様子=2025年3月28日、石川県珠洲市、川村直子撮影

 エアコン500台、電気給湯器(エコキュート)80台、洗濯機130台…。能登や熊本など日本各地の豪雨災害で被災し、住民が「捨てるしかない」と諦めていた家電を、元エンジニアらのボランティアチームが、この5年間に無償で「復活」させた数だ。昨年からは、石川県珠洲市で活動を続けている。

 チームの名は「チームふじさん」。代表の藤野龍夫さん(73)は、防災ヘリコプターの元整備士。電気系統の修理も担っていた。

  • トイレがある場所に人は集まる 能登に届ける「用を足す」以上の価値

 「家電が動く原理や、何が危険かを分かってるし、難しいことはないよ」と藤野さんは言う。水害ではエアコンなどの室外機が水につかることが多いが「ぬれた状態で通電してショートしていなければ、内部の泥やゴミを完全に取り除いて、しっかり乾燥させることで、たいていは動く」。

高所作業車を使って2階のエアコンの室外機を取り外す藤野龍夫さん(右)ら=2025年3月27日、石川県珠洲市、川村直子撮影

 だが素人が手を出すには、ハードルが高い。

メーカーは買い替えを推奨 被災者が「今」を乗り切るには…

 各メーカーがホームページに掲載している浸水時の対応には、相談窓口の連絡先とともに、異物が残っている場合の発火の危険性が記されており「できるだけ買い替えを」などの記載もある。

 藤野さんは「被災して出費がかさむのに、買い替えて、ってそれはないんちゃう? もちろん安全第一の上で、被災者さんがどうすれば今を乗り切れるか、を考えて僕らは動く。まだ使えるんやから」と力を込める。各地で水害が集中するのは6月から9月。片付けをするのは暑い時期で、エアコンが使えれば、熱中症の危険も減る。

 東日本大震災からボランティアを続ける藤野さんが、家電の対応をするようになったのは、5年前に熊本県南部で起きた豪雨災害で、山積みの家電が廃棄されるさまを見たのがきっかけだった。以降、さまざまな被災地で、災害ボランティアセンターなどを通じて住民から依頼を受けている。

モットーは「できる時に、できる所で、できる事を」

 活動は家電の復旧にとどまら…

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