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大沢地区の農地にマコモダケを植える山形大農学部の学生ら=2025年5月26日、山形県酒田市、清水康志撮影

 昨夏の豪雨で甚大な被害を受けた地区の一つ、山形県酒田市大沢地区で5月26日、山形大農学部の学生たちがマコモダケの株を植えた。復旧までには数年単位の時間がかかるとみられるが、一歩ずつ地域と農業の再生をめざす。

 大沢地区は昨年7月下旬の豪雨で荒瀬川などが氾濫(はんらん)し、住宅や田畑が浸水。10カ月たつ今も、大量の土砂や流木が残されたままの農地が目立つ。

 住民有志は被災の前年から、新たな特産品にとマコモダケの栽培を始め、直売所や通信販売で売っていた。イネ科の多年草のマコモダケは、タケノコに似た食感で、油炒めや天ぷらに向いている。畑は豪雨で土砂に埋まったが、何とか生き残った株を今回、移植することにした。

 留学生を含む学生10人は、水を張った畑でぬかるみに足をとられながら、株を植え付けた。農学部4年の佐藤直稀さん(21)は、昨夏、地区で土砂撤去のボランティアをした。「最初は土砂ばかりで農地の原形が見えなかったが、農業ができるところまできた。復興を手助けしたい」

 作業を見守った大沢コミュニティ振興会長の後藤正一さん(73)は「どこまで復旧できるか未知数だが、若い人を受け入れることで将来につながれば」と期待する。

 今回の活動は、農山村で即戦力となる人材育成をめざす「地域創生プログラム」の授業の一環。1月には地区の伝統行事にも参加した。地区の地域づくりのアドバイザーも務める渡辺理絵准教授は「学生たちは、地域の課題にふれ、生の声を聞き、地域文化にも興味を持って関わってほしい」と語った。

 秋には学生らも一緒にマコモダケを収穫する予定という。

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