貝殻が数メートルに及ぶ層をなした状態で見つかる「貝塚」。縄文時代(約1万5千~約2400年前)を象徴する遺構だ。食料としての貝ではなく、道具や装身具の素材としての貝に注目した特別展「貝へのあこがれ」が、青森県八戸市の市埋蔵文化財センター是川縄文館で開かれている。
展示では、貝でつくられた道具や装身具の紹介、作り方や用法の考察、産地からの流通経路、貝をかたどった土製品などを通じ、縄文人と貝とのかかわりを紹介している。
人類が貝を素材として利用し始めたのは、縄文時代以前の旧石器時代とされる。昨年度の沖縄県・普天満宮洞穴遺跡の発掘調査では、旧石器時代の約2万8千~1万7千年前の地層から、扇形貝器2点が見つかっている。また、同じ沖縄県のサキタリ洞遺跡からは、同時代の地層から、貝製の釣り針や装飾品とみられるビーズの加工品が出土している。
縄文時代前期、気候が温暖化し海水面が上昇、現在では内陸になっている場所まで海が入り込んだ「縄文海進」があった。出来た内湾には干潟が広がり、干潟にすむ貝の採取や打ち上がった貝が利用しやすい環境となったようだ。
例えば、ハマグリは貝塚から…