陸上女子やり投げの北口榛花(はるか)(26)は、昨夏の世界選手権で金メダルを獲得した。
この種目で日本勢が表彰台の頂点に立つのは五輪、世界選手権を通じて初の快挙だった。
帰国後はメディアの取材や、NHK紅白歌合戦での審査員などに引っ張りだこ。こんなに忙しい日々は経験したことが無いかと思いきや、違った。
水泳、英会話・・・習い事をはしごした小学生時代
小学生時代は「習い事から習い事のはしご」の生活だったという。
水泳にバドミントン、英会話、ピアノ、体操教室、塾……。平日は夕方から夜までの予定がびっしりと埋まり、土日は大会。夏休みには水泳の朝練習を終え、髪を乾かすひまもなく塾での夏季講習に通ったこともあった。
習い事はすべて両親からすすめられたもの。「学校の授業で困らないように」という理由だった。
放課後に友達と遊んだ記憶はほとんどない。
でも、苦に感じたことは一度もなかった。
「のめりこむタイプだったし、なにより負けず嫌いだった」
小学3年生のとき、水泳でレベルの高いコースに進級した。
すると、年上の子にいつもタイムで負けるようになった。
「どうしたら勝てますか」
ある日、ゴーグルの中に涙をためながらコーチにたずねた。
「どうしたら速くなりますか。どうしたら勝てますか」
コーチからのアドバイスに従…