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財務省の庁舎に向かって、「財務省解体」のメッセージを掲げる人=2025年3月14日午後6時23分、東京・霞が関、関田航撮影
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 「財務省を解体しろ」。こんな主張を掲げて、財務省前でデモが続けられています。SNSを通じて拡散され、インフルエンサーらも参戦。首相が国会で言及するまでになりました。

 なぜ、ここまで広がっているのでしょうか。インターネット上の言論に詳しい伊藤昌亮成蹊大教授に聞きました。

財政への不満が流入

 ――「財務省解体デモ」が、昨年末ごろから急拡大しています。

 実は、日本で「経済デモ」というのは大変珍しい。今までのデモは、安保反対や反原発、反差別など、ほぼ「政治デモ」でした。

 一方、今回のデモはイデオロギーの枠には収まりきらない。

 ――確かに、日の丸を掲げて保守的な主張をする人も、政権交代を訴える人もいて、従来のデモとは雰囲気が違います。

 いま、世の中には、財政に関する不満がたまっている。そうした不満を抱えた人たちが向く先は、二つあります。

 一つは「小さな政府」を求める「ネオリベラリズム」。税や社会保険料など「取られるお金」を少なくし、かわりに「もらえるお金」も少なくていいという考え方です。

 「取られるお金」が増え続け、「もらえるお金」は少なくなっています。もはや「福祉国家」は成り立たないという批判は、世界的な潮流です。

 堀江貴文さんやひろゆきさんらインフルエンサーがリーダーですが、最近は「経済的な弱者」にも浸透しています。

外国人排斥の「福祉排外主義」も

 もう一つが「大きな政府」を求めるもので、ネオリベラリズムと違い「積極財政で自分たちを守れ」と訴えます。元来は左派の主張ですが、財務省解体デモもこれに類するものでしょう。ただ、そこでは「取られるお金」を少なくしたいという点がまず強調されます。

 大きな政府を求める方向には、実は右派的な動きもあります。「福祉排外主義」です。「自分たちを守ってもらいたいのに、十分に守られないのは、税金が外国人に使われているからだ」という主張で、ヨーロッパなどでは移民攻撃につながっています。

 ――デモでは「日本人のため…

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