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放課後の中学校の教室=東京都内
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 残業代が出ない代わりに公立学校教員の給与に上乗せされている「教職調整額」の増額を巡り、財務省と文部科学省が対立を深めている。残業時間を減らしながら進めるべきだと主張する財務省に、文科省は教育の質担保には「人員増もセットで」と反論。2025年度の予算編成が固まる年末に向けて攻防が激化しそうだ。

 財務省は11日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会に、教員の時間外勤務を減らすことを条件に、調整額を段階的に引き上げていく案を正式に示した。働き過ぎの解消と待遇改善を同時に図るねらいだ。

 この案は、授業以外の勤務削減などを徹底し、時間外勤務の全国平均が国の目標値を下回れば、翌年度の調整額を段階的に引き上げるというもの。数年かけて時間外勤務を平均で月20時間に減らし、調整額をいまの4%から10%にすることをめざす。勤務時間と給与が見合う仕組みをつくることで、将来的には調整額を廃止し、残業代を払う制度への変更も視野に入れる。

 また、仮に働き方の改善が進まなかった場合には、文科省とともに原因を調べ、国のお金で業務の外部委託を進めるなどの対応をとるという。

 会議後に会見した土居丈朗・慶応大教授によると、委員の大半が案に賛成した。「残業時間の縮減というインセンティブを付けるのは非常によい」「現場の教員からも賛同する声を聞いている」との意見があったという。

財務省が独自案を示した理由は

 財務省が独自案を示した背景…

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