急速に高齢化が進む韓国社会。この国の高齢者は、かつての軍事独裁政権や民主化をいずれも経験している。非常戒厳を出した大統領の弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)を受けた6月3日の大統領選を前に、高齢の有権者らに思いを聞いた。
ソウル市江南区にある貧困世帯が集まるとされる一角。バラックが軒を連ね、壁には「無許可建物」の貼り紙がある。時折、姿を現す住民は高齢者が多く、声をかけても「テッソ(結構だ)」と素っ気ない。
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ソウルでは1950年代半ばごろからベビーブームで人口が増えた影響で住宅が不足し、生活困窮世帯が不法に住み着いた結果、貧困地区ができたとされる。
近年は再開発が進む一方で、行政からの立ち退き要求を拒み住み続ける人たちもいる。江南区のこの一角でも近接する土地に駐車場が建設されており、近くに「住民の土地を返せ」との横断幕があった。
韓国メディアによると、大手不動産サイトが1月に公表したソウル全体のマンション平均価格は約13億8千万ウォン(約1億4千万円)。江南区はその倍以上の約28億3千万ウォンだ。林立する高層ビル群の足元に、外界から遮断されたような空間が広がる。韓国社会の格差を象徴的に映し出しているかのようだ。
ソウル市内の別の貧困世帯が…