カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案に対し、セブン&アイ・ホールディングスが反対姿勢を鮮明にした。セブン経営陣が6日付でクシュタールに送った書簡は、買収提案に対する不信とともに、自社の経営に強い自信や自負を示した内容となった。
「提案はタイミングを計った機会主義的なもの」
6日にセブンが公開したクシュタールに対する書簡には、そんな文言が並んだ。ここでいう「機会主義」とは自分の利益のみを考える行動を意味する。クシュタールの提案は同社の利益のみを意図し、セブンの利益を考慮しないものと評価したというメッセージを示した格好だ。
さらに、セブンが現在行っている事業戦略や今後とっていく施策について「潜在的な株主価値の短中期的な実現について、著しく過小評価している」と指摘。セブンの発行済み株式の全てを1株あたり14.86ドルで取得するというクシュタールによるセブンの評価について、強い疑問を示した。
現在の為替相場(1ドル=143円)で計算すると買収価格は約5兆6千億円になる。自社はそれ以上の価値がある、という主張をしたことになる。
買収提案があった事実は8月19日にセブンが発表したが、クシュタールの提案の具体的な中身はいまだに明らかになっていない。ただ、アナリストなどの間では「クシュタール傘下になってもセブンのメリットは少ない」との見方が多い。
書簡でも、世界で展開するコンビニ事業に関して「戦略的なポジショニングを有している」と自己評価。現在進めている自社の戦略について、「当社の株主価値を顕在化し得ると確信しています」と言い切った。
「日本だけで1日2千万人」経営陣の自負
ある幹部は書簡を送る数日前…