シンガポールで3日、総選挙(定数97)の投票が始まった。即日開票され、4日未明にも大勢が判明する見通しだ。米トランプ政権の高関税政策で世界経済の先行きに不透明感が広がる中、貿易立国のかじ取りを任されたローレンス・ウォン首相の信任が問われる。
- トランプ関税下で占う貿易立国の将来 シンガポール総選挙の焦点とは
同国は人口約600万人で、多くの日本企業も拠点を置く東南アジア地域経済の中核だ。ウォン氏は2024年、建国の父リー・クアンユー氏の長男で20年にわたり同国の首相を務めたリー・シェンロン氏から、与党・人民行動党(PAP)のトップを引き継いだ。
1965年の独立以来、PAPは事実上の一党支配を続ける。前回総選挙では、93議席中83議席を獲得。今回も優位は揺るがないとみられる。得票率で前回(61.2%)を上回れるかが焦点だ。
米政権は、自由貿易協定を結んでいる同国にも10%の関税を課した。PAPは国民の高い支持を基礎に、難局における政権運営を進めたい考えだ。後継者のウォン氏を軸に総選挙を乗り切ることで、世代交代も印象づけたい状況だ。
新自由主義的な国家運営、格差拡大に不満
ただ、新自由主義的な国家運…