アナザーノート

アナザーノート 木村裕明記者

 物価上昇を上回る賃上げは実現するのか。

 例年以上に注目を集めた今年の春闘で、電機メーカーの労働組合でつくる電機連合(組合員約58万人)は月1万3千円(4%程度)以上のベースアップ(ベア)を求める方針を掲げた。比較可能な1998年以降で最高水準の要求だった。

 「相場形成の役割を果たせるように交渉を進めていく」

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 春闘方針を正式に決める中央委員会があった1月25日。東京・有楽町で開いた春闘方針の記者説明会で、神保政史・中央執行委員長は賃上げの牽引(けんいん)役としての産業別労組の社会的責任を口にする一方、こう宣言した。

 「賃金のみならず、働く環境の整備にもトライします」

 要求項目の一つに障がい児や医療的ケア児を育てる組合員の職場環境の整備や、育児と仕事の両立支援を掲げ、「しっかりと課題を解決していきたい」と力を込めた。

 通年の労使協議で取り上げてもよいテーマだが、あえて春闘で要求した狙いも明らかにした。「春闘で取り組むことで効果が出る」と判断したという。

 電機連合が春闘でこうした要求をするのは初めて。他の産業別労組を含めても、春闘でこうした要求を掲げた前例はない。

 なぜ、「賃上げ春闘」で異例の要求をしたのか。記者から問われた神保さんは答えた。

 「50年前、障がい児を持つ…

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