2030 SDGsで変える
家庭から出るごみの量は1人1日当たり475グラム(環境省の最新調査)で、その3~4割が生ゴミです。生ゴミを減らせば収集や焼却にかかる二酸化炭素(CO2)も減らせる――そんな視点から、微生物の力で生ゴミを堆肥(たいひ)にするコンポストが注目されています。持続可能なライフスタイルとして期待される都市部での循環づくりを取材しました。
ベランダでもOK 捨てない暮らしを目指して開発
かつては工房だった東京都台東区谷中(やなか)の古民家で20日、堆肥の回収会が開かれていた。持ち寄られているのは、バッグ型のコンポスト。買い物かごほどの大きさで、簡単に持ち運びできる。自転車でやってきた区内の女性がバッグから堆肥を取り出すと、「わあ、きれい! 分解がうまく進みましたね」とスタッフが声をかけた。
「コンポストを始めてからごみの量が本当に少なくなった。収集日を気にすることも臭いの心配もなく、快適です」。中学生と高校生の子を育てる女性は、笑顔で帰って行った。
回収会は、ベランダ用のコンポストを展開するローカルフードサイクリング社(LFC、本社・福岡市)が、古民家を拠点に「未来定番研究所」の活動をする大丸松坂屋百貨店、「循環型ライフスタイルへの転換」を進める台東区と協定を結んで2カ月に1度、実施している。この日は19世帯分の堆肥が集まった。さいたま市から来た夫婦もいた。
LFCは、「『捨てない暮らし』による台所を起点とした食循環」に取り組む平由以子さんが、20年に及ぶNPO活動を事業化する形で、2019年に始めた。コンポストは食循環で重要な役割を果たすが、都市部では課題があった。
マンションなどは庭がなく…