裁判

 認知機能が低下し、判断能力を欠く高齢女性に金融機関から現金を払い戻させて受け取ったなどとして準詐欺、窃盗、業務上横領の罪に問われた佐賀市川副町犬井道の元市議、川崎直幸被告(75)の判決公判が12日、佐賀地裁であった。山田直之裁判官は「高齢者の資産をとことんまでむさぼる卑劣きわまりない態様」として懲役6年(求刑懲役8年)を言い渡した。

 判決によると、川崎被告は市議だった時期を含む2021~24年、当時77~80歳だった知人の高齢女性に、金融機関の口座から現金を払い戻させたり、自身の口座に振り込ませたりして計3795万円を受け取ったほか、23~24年、女性の口座から計350万円を引き出して盗んだ。また、24年、自身が会長だった南川副校区自治会長会名義の口座などから計46万円を横領した。

 判決は「多額の資産に目をつけ、認知機能の低下につけこみ、自身の社会的信用や被害者からの信頼を逆手に取った」と指摘。女性は資産のほとんどを失ったうえ、被告が不動産業者に「亡き夫の借金返済のため」とうそを言って、被害者宅の売却を主導したため、被害者は自宅を失い、生活保護を受けるほど困窮するようになったとして「被害者に与えた悪影響は甚大」とした。

 被告が競艇などギャンブルを繰り返していた様子がうかがわれる点なども挙げたうえで「結果に見合った非難を向けるべきだ」と判断した。

 川崎被告は旧川副町議をへて、市議を3期務め、21年10月の市議選で落選した。

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