名古屋地方・高等裁判所

 名古屋市の観光プロモーション事業をめぐる汚職事件で、元市担当課長への贈賄罪に問われた広告会社「ニック」の取締役、桑原清美被告(54)=同市西区=の公判が3日、名古屋地裁(森島聡裁判官)であった。検察側は「公務員の職務の公正や社会の信頼を著しく害した」として懲役1年を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求めて、結審した。判決は17日。

 桑原被告は、この日の被告人質問で、新型コロナ禍の影響で会社の売り上げが落ち、売り上げを増やさなければいけないという思いがあったとした。業務を受注する中で、市の担当課長などを務めた大塚勝樹被告(62)=収賄罪で公判中=のやり方に疑問を感じることもあったが、指示通りにすれば問題はなく、こういうやり方なのだろうと思っていたという。

 検察側は論告で、桑原被告が大塚被告の了承のもと、市に対して委託業務の費用を水増して請求していた点にも触れ、「市の損失の下、会社や大塚被告が利益を得ており、犯行は悪質だ」と非難した。

 一方、弁護側は「全て大塚被告の指示に従ったもので、桑原被告が計画したものではない」などと主張した。

 起訴状などによると、桑原被告は2023年3月~24年12月、市発注の観光プロモーション事業の業務委託で、ニック社が選ばれるよう便宜を図ってもらうなどの見返りに、大塚被告に計約43万円の賄賂を提供したとされる。

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