(13日、第107回全国高校野球選手権大分大会2回戦 宇佐9―8国東)
同点の九回裏。国東の遊撃手、吉田咲斗選手(3年)は「おれのところに来い」と落ち着いていた。一打サヨナラのきわどい場面の連続だったが、軽快な動きでゴロをさばき、本塁で2度、三塁走者をアウトにして、ピンチをしのいでいた。そして迎えた2死満塁の場面。相手打者の打球は三遊間へ。必死に飛びついたが、及ばずに打球は外野へ抜けていった。
劇的なサヨナラ負けに「最後の打球を捕ってこそヒーローだったと思う」と悔しさをにじませた。
小学1年から野球を始めた。二つ上の兄と野球がやりたくて国東に進学。国東では1年から背番号6を付けた。2年前は3回戦、昨年は2回戦で敗退して迎えた最後の夏だった。
この日は点を取っては取られての試合展開の中で、4安打4盗塁に軽快な守備でチームを勢いづけた。朝練などでバットを振りこみ、ノックを受け続けた3年間の成果が出せた、と思う。「最後の夏、意地を見せることができたかな」と笑顔で球場をあとにした。