記者コラム 「多事奏論」 編集委員・原真人
円安は輸出産業の業績を好転させ、めぐりめぐって日本経済全体にもプラスになる。そう信じられてきた。だが足元の円安は総じて歓迎されていない。物価高に拍車をかける「悪いニュース」だ。
この2年、円は何度か1ドル=150円超まで売られたが、今年初め、140円まで戻した。そこからはもっと高くなって130円台で推移する――。それが多くの民間エコノミストたちが少し前まで描いていた今年の相場シナリオである。
なぜなら米国はインフレが落ち着いて利下げが近づき、日本は異次元緩和を終え利上げ局面に入る。日本はもともと経常黒字国だし、日米金利差が縮まれば円はもっと買われるはず、という読みだ。
企業経営者たちもそう見てい…