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東海大熊本星翔―北海 試合前、守備練習に臨む北海の出口(中央)=小林一茂撮影
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(10日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 北海7―10東海大熊本星翔)

 八回裏2死一塁。出口徳太郎選手(3年)は代走に指名された。

 一塁から盗塁のチャンスをうかがった。コーチャーとタイミングを計る中で、盗塁のサインが出た。「覚悟をしていた分、いいスタートが切れた」。軽やかに二塁にすべり込んだ。

 「塁に出て引っかき回すのが得意」と話す出口選手は、チームのムードメーカー。持ち味を発揮すると、劣勢のベンチは盛り上がった。吉井天星選手(3年)の左前打で生還。この回の反撃の口火を切った。

 2年生の秋、右ひじを疲労骨折。3年生になった春の大会は出場できなかった。最後の夏に間に合うのか不安だった。しかし、「自分は盛り上げ役。落ち込んでいられない」。

 リハビリを続けて迎えた夏。背番号18をもらった。南北海道大会準々決勝で代打出場。1安打1打点1犠打1盗塁と、結果を出した。

 甲子園でも足をいかす場面を待っていた。

 試合後、「負けは悔しいが、甲子園で盗塁するのが目標だったのでよかった」と晴れやかな笑顔を見せた出口選手。野球は続ける。武器はもちろん足だ。

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