プロを目指すサッカー選手が、練習時間を確保しながらバス運転士として働く――。そんな取り組みがこの春、栃木で始まった。選手は生活を安定させて夢に挑戦し、バス会社は深刻な人手不足を改善できる。選手の「第2の人生」も見すえた試みだという。
4月中旬の平日午後。サッカーJ3・栃木シティのセカンドチーム「U―25」に所属する松浦航洋選手(26)は早朝からの練習を終え、40キロ離れた職場へ向かった。宇都宮市のバス会社「関東自動車」の営業所だ。
2月から契約社員の運転士になった。大型2種免許を取得して研修を終え、1人で運転を始めて4日目。車両の点検を終えると乗務が始まった。市郊外からJR宇都宮駅に向かう路線を担当する。駅が近づくにつれ、学校帰りの高校生らで満員になった。
「まもなく右に曲がります。ご注意ください」
丁寧なアナウンスとともに、カーブの多い狭い道もスムーズに走り抜ける。同社の石原玲一専務は「若いから、のみ込みが早い。頼りになる戦力」と目を細めた。
業務提携で「二刀流」
サッカー選手とバス運転手の…