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視覚障害者の男性が電車に接触する事故があった踏切=2025年5月2日、大阪市住吉区、保坂知晃撮影
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 視覚障害者が亡くなった踏切事故を受け、昨年1月に国が改定した道路のバリアフリーに関するガイドラインで「積極的な整備」を求めている踏切内の点字ブロック。だが、津市が昨年末に拡幅工事を終えた踏切には設置されなかった。この踏切への設置は努力義務にとどまるためだ。新たなガイドラインを生かし、視覚障害者の安全を守るにはどうすればいいのか。

 昨年末、JR紀勢線や近鉄が乗り入れる津駅(津市)のすぐ北にある大谷踏切の供用が開始された。拡幅工事は2018年度に始まり、昨年12月に終わった。工事前は幅約2.5メートルで車がすれ違えず、慢性的に渋滞が発生していたが、工事後は幅約11メートルになり、歩車道も分離された。踏切西側の急な坂道は歩道を蛇行させることで勾配を緩やかにし、バリアフリーにも配慮している。

 供用開始に先立つ昨年1月、国土交通省は道路のバリアフリーに関するガイドラインを改定。踏切内の点字ブロックを「望ましい整備内容」から、積極的な整備が求められる「標準的な整備内容」に引き上げた。

 きっかけは、奈良県大和郡山市の踏切(警報機、遮断機付き)で2022年4月に起きた死亡事故だ。国交省によると、視覚障害がある女性が線路内に立ち入った後、警報機が作動。女性はその場に立ち止まった後、引き返す途中で電車と接触したとみられる。

 国交省は、視覚障害者は踏切自体の存在や、自分が踏切内にいることを認識できないケースがあることなどを課題とし、視覚障害の当事者の意見も踏まえ、踏切内の点字ブロックの設置を促すことにした。

 しかし、ガイドライン改定後に整備された津市の踏切内に点字ブロックは設置されなかった。

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