米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、防衛省は20日、辺野古北側の大浦湾を埋め立てる本格工事を始めた。前例のない深い海域での地盤改良が必要で、難工事が予想される。
新たに工事が始まったのは、辺野古北側の大浦湾約110ヘクタールの区域で、埋め立て予定区域全体(約150ヘクタール)の4分の3にあたる。防衛省の計画では、今後約8年かけて埋め立て、V字形の滑走路を備えた飛行場を整備し、2030年代に移設事業を完了するとしている。
ただ、技術的な面から、玉城デニー知事は「完成は不可能」とまで指摘している。どれほど難しい工事なのか。
完成後も「沈下との戦い」 建設費「2兆5千億円」の試算も
主なポイントは、必要な地盤改良の深さ、完成後の維持管理、埋め立て土砂の確保だ。
防衛省の調査では、大浦湾側には非常に軟らかいことを示す「N値=0」の地盤があることがわかっている。
N値とは「標準貫入試験」と呼ばれるハンマーや試験杭を使って測る値で、大きいほど地盤が固い。「0」というのは試験杭が自重とハンマーの重さだけで地盤に沈んだことを意味する。
国が進める辺野古での基地建設で、軟弱地盤がある北側でも本格的な工事が始まりました。前例のない難工事と言われる理由はなにか。3つのポイントで整理します。
防衛省は、砂などの杭を約7…