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原爆ドーム前を走る路面電車=2024年8月1日、広島市

 4年連続で「転出超過」全国最多となった広島県。20代から30代半ばの女性の流出が目立ちます。ひろぎんホールディングス・サステナビリティ統括部長の木下麻子さんは地方に残る性別役割分業の問題を指摘し、「日本の国力が落ちてしまう」と危機感を募らせています。人口流出は、地方だけの問題ではないのでしょうか。

ひろぎんHBサステナビリティ統括部長・木下麻子さんインタビュー

 ――転出者が転入者を上回る「転出超過」のデータをみると、広島県は2024年まで4年連続で全国最多でした。

 転出者が多いのは、「広島が嫌いになったから」というわけではないのです。広島は全国でも大学進学率が高く、中学、高校での教育も熱心です。勉学を頑張った人が東京の大学に進学したり大都市圏で働いたりすることを望んだとしても、自分の力を大きな市場で試したいと思う気持ちは否定できません。少なくともこの10年、20年はこの流れは止められないと思っています。

 ――県は「転出者が高止まりし、転入者が減少している」と分析しています。

 働き手が戻ってこない、入ってこないことが問題なのです。広島周辺の岡山県や四国地方の人材が、交通アクセスのしやすさから大阪圏に流れてしまうという実情はあるでしょう。とはいえ、やはり経済面の課題は大きい。広島の企業は、若者や女性にとって魅力が十分とは言えません。どの地方も同じような課題を抱えているとは思いますが。

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 ――若者や女性にとって魅力がない、とは?

 私は9年前、広島にいる夫の…

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